2014年1月14日火曜日

1/11公開『グォさんの仮装大賞』 老人たちを生かす、その力の源は?

1月11日シネマート新宿・シネマート心斎橋にてロードショー
1月18日シネマスコーレ、ほか全国順次公開
2012年・中国/原題「飛越老人院」、2012年東京国際映画祭上映時タイトル「老人ホームを飛び出して」/監督:チャン・ヤン(張楊)/出演:シュイ・ホァンシャン(許還山)、ウー・ティエンミン(呉天明)、リー・ピン(李濱)、イエン・ピンイエン(顔丙燕)ほか/104分
http://www.guosan.jp/

  70を過ぎ、再婚相手に先立たれたグォは、義理の息子に自宅を明け渡して友人チョウの暮らす老人ホームに居を移した。ホームでは、チョウの発案でテレビの仮装コンテストに出る話が持ち上がったところだった。コンテスト出場という目標ができ、はつらつとした日々を送る老人たちだったが、テレビ局のある天津は遠く、目の前には施設長や身内の了解を得なければならないという難題が立ちふさがっていた。
  老いた親の世話をどうするかという問題は、少子高齢化社会の日本で大いに問題になっているが、一人っ子政策の中国でもそれは同様、いや、もしかしたらそれ以上に深刻な問題なのだろう。グォやチョウら老人たちは、じつに過酷な家庭環境の下でホーム暮らしを余儀なくされた。だが、ここでスポットを当てているのは、そうした問題より、むしろ困難な現実から解き放たれ目を輝かせて前に進む老人たちの姿である。
  自宅を義理の息子に奪われ、実子にも拒絶され、植木鉢ひとつ抱えてうなだれた様子でホームにやって来たグォ。彼にとっての救いは、旧友チョウの明るさだ。チョウのリードでコンテストに向けてトレーニングに励むうち、グォは生きる張り合いを見出していく。それは、ほかの老人たちも同じだ。煩わしさを忘れ、目を輝かせて一心に打ち込む。
  やがて、彼らはホームを飛び出してオンボロバスで天津へ向かうのだが、その道中が、また、よい。いくつかのトラブルといくつかの出会いに縁取られた冒険旅行。齢を重ね、童心に返って今を楽しむ彼らを、誰が応援せずにいられるだろう? 金目当てで没交渉だった祖父グォに近づいた孫も、いつしか応援団員と化す。自身、良好ではない親子関係の下に生きてきたというチャン・ヤン監督の、家族(特に両親)に対する思いもそこには込められている。
  物語終盤でチョウの秘密が明かされる。明朗さの陰に隠された事実、チョウを衝き動かし続けたパワーの源は何であったのか。人の生きる力の源泉を見る思いがする。

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